地球温暖化を進める「隠れた主役?」メタンガスは、どこから出て来るのか?

2011年11月10日。英国で開催されたCOP26で「米中共同宣言」という形でメタンガスの削減と対策に取り組む、という発表がありました。近年、ことごとく対立している米国と中国の共同宣言というのも事態の緊急性の高さを表していますが、そもそもCOP26は二酸化炭素の排出削減の協議をする場であると思っていたのに、いきなり「メタンガス」についての発表なので「あれ?」と思った方も多いと思います。実は近年の地球温暖化現象はCO2も確かに一因ですが、Co2の20倍もの温暖化効果を持つメタンガスの大気濃度の上昇が原因ではないか、と指摘する意見は前からあったのです。

実はメタンガスの大気濃度は過去30年間で見ると、長年「横這い」の時期が続いていたのに、近年、急激に上昇に転じているのです。そして、その原因は意外なところにあることが判明しています。日本の国立環境研究所の調査によると近年、メタンガスの放出が多くなった地域としてアフリカ大陸と東アジアが指摘されています。メタンガスには天然由来の物と生物由来の物があり、石炭やシェールガスの採掘の際に地中から排出されるメタンガスは天然由来の物です。中国がいち早く「石炭の採掘を削減する」と発表したのは、そのためです。また以前から言われている「牛のゲップ」は生物由来の物です。牛に限りませんんが生物の体内にはメタン菌という菌がおり、これがメタンガスを作り出すのです。そしてアフリカと東アジアでメタンガスの排出量が急激に増えているのは、これまで行われていなかった牧畜が盛んに行われるようになったからなのです。

人間はタンパク質を接種しないと生きていけませんが、最も効率的なタンパク質の接種方法は肉、魚を食べることです。しかしアフリカの内陸国で海に面した地域を持たない国は魚の入手が難しいので、これまで野生動物を狩って食べていました。いわゆる「ブッシュミート」という物です。しかしブッシュミートは野生動物の肉なので衛生的な問題や感染病の問題が絶えず、アフリカ大陸でエボラ出血熱をはじめとする、他の地域では見られない感染病が多発するのもブッシュミートによるもの、と言われてきました。またブッシュミートとして狩られる動物の中にはコビトカバ等の絶滅危惧種も含まれており、その点でも問題を指摘されていたのです。これが牛を中心とする牧畜が近年、盛んになってきた理由です。実は南米、東アジア地域においてもアフリカと同じ問題があり、その結果、牧畜が盛んになってきているのです。つまり「牛が増えて、ゲップの量が増えたからメタンガスが増えてきた」という訳で、こういった事情では「牛を飼うのを止めろ」とは、とても言えないという困った状況になってきているようなのです。

アメリカ海洋気象庁は近年のメタンガス濃度の上昇について「海水温の上昇で海底のメタンハイドレードが気化し始めている」という報告を上げています。ちょっと以前に日本で「将来の資源」として話題になったメタンハイドレードですが、要は古生代大気に大量に含まれていたメタンガスが海中の冷えた海水温で塊となるり海底に堆積しているものです。しかしメタンハイドレードは「薄く広範囲に分布している」ために採取してもコストが引き合わず商業化はされていません。つまり放置されいるのですが、実は量の多い、少ないの違いはあれ、メタンハイドレードは世界中の海底に存在しています。それが気化し始めているのです。こうなると、今更「牛のゲップ」を止めたところで効果はありません。既に上昇してしまった海水温を下げる手立てももありません。つまり「止められない悪循環」が始まりつつあるようなのです。

恐竜の全盛期であった時代の大気中の酸素濃度は現在より遥かに高かったようです。しかし木材不朽菌という新しい菌類が現れ、酸素を大量に消費し始めたために大気の酸素濃度は急激に下がり地球大気の環境は一変しました。その結果、薄くなった酸素濃度に適応できなかった種は絶滅した、という歴史があります。果たして人類はメタンガスを制御できるでしょうか? もしかしたら出来るかもしれません。メタンガスは可燃性のガスで実用性があるからです。しかし鉱学の専門家は「集中、集積していない資源は採取にコストがかかりすぎて商業化はできない」と断言しています。と、いうことはコストがかかることを覚悟すれば、除去はできる、ということでもあります。米中の英断に期待しましょう。


宮本パーキング 高橋俊雄

このプレスリリースの掲載先リスト (0)

企業情報

商号
なのはなや
本社所在地
千葉県船橋市 宮本1-1-10 宮本1-1-10 宮本パーキング
代表者名
高橋俊雄
WEBサイトURL
業種
その他サービス